理学療法士・作業療法士が公務員になったら給料はどのくらい?実際の求人票を集めました

目次

公務員理学療法士・作業療法士の種類

公務員といっても、管轄所によって大きく3つに分けられます。

キャプション

  • 国立病院機構,労働者健康福祉機構など
  • 地方
    都道府県
    市町村
    地方独立行政法人など
  • 公的(準公務員)
    日赤
    済生会
    共済組合およびその連合会など

国家公務員

1つめは国が管轄している国立病院機構です。

この組織に入ると国家公務員扱いとなります。施設一覧は下記サイトをご参照ください。

地方公務員

2つめは県もしくは市町村が管轄している施設です。

◯◯県立病院や◯◯市立病院、◯◯町立病院などの名前がつく施設がこれにあたります。

この組織に入ると身分は地方公務員になります。

準公務員

3つ目は公的病院です。

赤十字病院や済生会病院、国家公務員共済組合連合会とつく施設などがこれにあたります。

この組織に入ると身分は準公務員となります。

正式な公務員ではないのですが、給料のシステムや待遇は公務員に準ずる形になっています。

公務員理学療法士・作業療法士の給料

初任給

関東の準公務員系の初任給です。基本給は186,242円です。

引用:関東甲信越地区の国立病院機構募集要項2022

次は関東の国立病院機構(国家公務員)の初任給です。大卒で初任給186,100円になっています。

東北地方の地方公務員(県)の初任給です。理学療法士・作業療法士は大卒で190,000円になっています。

関西地方の地方公務員(市)の初任給です。理学療法士は大卒で188,496円になっています。

どの管轄でも初任給に大差はないよ

公務員理学療法士・作業療法士の初任給は185,000円〜190,000円程度
初任給は国家公務員・地方公務員や自治体の違いによる差はほぼない

平均年収

平均年収は宮崎県が公表している地方公務員給与実態調査を参考にしてみましょう。

引用:令和2年地方公務員給与実態調査|宮崎県総務部市町村課

こちらは宮崎県で働く公務員の市と町村別での平均月額報酬です。理学療法士と作業療法士は1番下にある「医療技術職」に該当します。

平均月額報酬は市では298,000円市町村だと300,600円のようです。

仮にボーナスが4.5ヶ月分だとして年収を推計してみましょう。

地方公務員の平均年収
  • 市職員
    298,000(12+4.5)=4917,000
    平均年収は約491万円
  • 町村職員
    300,600(12+4.5)=4959,900
    平均年収は約495万円

理学療法士の平均年収は約410万円といわれているので、公務員理学療法士・作業療法士はそれよりも80万円ほど高いことが分かります。

ただし、理学療法士の平均年齢は32歳程度ですが、さきほどの宮崎県の公務員データは平均年齢が38.5歳(市)と39,9歳(町村)と全体の値よりも7歳程度高いです。そのため、平均年収が高くなっているとも考えられます。

また、国家公務員と地方公務員でも平均年収は少し変わります。国家公務員のほうが少し高いといわれています。

また、地方公務員も自治体によって平均年収に違いがあります。都心部と田舎を比べると都心部の方が平均年収は高くなる傾向があるようです。

給料の特徴

公務員理学療法士・作業療法士の給料の特徴と民間施設との違いを3つ紹介します。

年功序列で給料が上がっていく

公務員の給料体系は級と号級の組み合わせでカッチリと決められています。

定期的にその級と号級が上がっていき、その位に応じて給料も増えていきます。

給料表が気になる方はリンク貼っておくので参考にしてください。

国家公務員の給料表はこちら(医療職給料表二)

地方公務員の給料表はこちら(医療職給料表二 東京都)

この表に則って年数がたてば勝手に基本給が上がって年収も増えていきます。

民間施設の場合、きちんと成果が出せない人は年数が上がっても給料が上がらなくなる場合があります。

しかし、公務員の場合は職場への貢献度と関係なく、年数に応じて給料が上がっていくシステムになっています。

給料の昇給額が多い

公務員理学療法士・作業療法士は民間施設よりも昇給額が高いのも大きな特徴です。

民間施設だと年間の昇給額は経験上年間2,000〜4,000円程度です。

一方、公務員PT・OTの場合、年間7,000円くらい上がります。

賞与(ボーナス)が多い

公務員だとボーナスが多いことも1つの特徴です。

1年間で基本給の4.0ヶ月〜4.5ヶ月程度もらえるようです。

一方、民間施設のボーナスはその施設の経営状態で大きく異なります。

友達とかの話を聞くと年間で1.5ヶ月しかもらえない人もいます。

僕の現職は年間で2.5ヶ月〜3.0ヶ月程度もらえます。

公務員の方が民間より賞与額が多いことがほとんどだよ

しかし、民間でも公務員以上のボーナスをもらえることもあります。

ぼくが最初に勤めていた病院は景気がとてもよく年間で4.7ヶ月もらっていました。

公務員PT・OTの賞与は4.0〜4.5ヶ月分程度

理学療法士・作業療法士が公務員になる2つのメリット

公務員理学療法士・作業療法士になるメリットを給料以外の視点で話します。

退職金が多い

公務員は退職金が多いことで有名です。

公務員全体での平均退職金額は大体2,000万円です。

民間施設でも退職金をもらえるところがほとんどですが、2000万円もらえる職場はほぼないと思います。

ぼくの現職は中小企業退職金共済会という組織に加盟しています。

毎年の掛け金と納付年数を入力すると退職金をシミュレーションすることができます。

試しに計算してみると退職金は約600万円でした。

民間よりも退職金が高いのが公務員PT・OTの最大のメリットといえます。

休みが多い

公務系の職場はだいたい週休2日かつ祝日も休みになります。

また、お盆休みと年末年始休みもあります。

365日体制の職場や長期休暇がない施設と比べると年間出勤日数は少なくなります。

福利厚生が充実

公務員だと福利厚生が充実しているのもメリットです。

扶養手当・住居手当・通勤手当を確実にもらうことができます。

特に住居手当は最大で毎月28,000円程度もらうことができます。

ただし、持ち家になると住居手当を受け取ることはできないのでその点は注意しましょう。

理学療法士・作業療法士が公務員になる5つのデリット

公務員理学療法士・作業療法士にはデメリットもあります。

むしろ、個人的にはデメリットの方が多いのではないかと感じています。その点について解説していきます。

もはや安定職じゃない

引用:地域医療構想調整会議での議論の活性化にむけて|日本医師会

利益が3期連続で黒字だったのは654病院中19病院しかなかったそうです。

なんと97.1%が赤字経営を続けているわけです。

これだけ赤字経営を続けていると、国が経営破綻してしまうので、2019年に厚生労働省が公務員系病院の再編および統合について議論していく必要があるという考えを公表しています。

こちらの記事では議論する必要があるとされて全国424病院の名前が都道府県別でリスト化されています。興味ある方はご覧ください。

今後は公務員系の施設であったとしても、なくなってしまう可能性が十分にあるということです。

公務員PT・OT=一生安定

という考えは改めた方がいいと思います。

今後は給料上昇が緩やかになる

民間病院が赤字経営を続ける原因の1つが人件費です。

さきほど話したように公務員の場合、年功序列で階段式に給料が上がっていきます。

そのため、在籍年数が長い職員が増えると、必然的に莫大な人件費が固定費として必要になります。

人件費が病院経営を悪化の原因であることは周知の事実なので、今後運営元である国や地方自治体が問答無用に昇給を下げてくることは容易に想像できます。

「公務員になればどんどん給料が上がって20年後には勝ち組だ」

こんな考えを持っている方は公務員理学療法士・作業療法士になるのはやめたほうがいいかもしれません。

退職金も年々減少傾向にあります。今後は2,000万円を下回ることが確実視されていますので、そのあたりも注意が必要です。

10年目くらいまで給料が低い

公務員理学療法士・作業療法士の初任給は多くの民間施設よりも低く設定されています。

10年くらいの働いても手取り20万円に届かないくらいが相場のようです。

引用:理学療法士の働き方改革ch

こちらの動画は民間病院→公務員病院(準公務員)で勤務されていた方が両者の給料を比較・公開されています。

自分の趣味や研修会参加・書籍購入などの自己投資など自由にお金を使いたい20代に薄給で思うように支出できないのは公務員勤務の残念な点です。

副業禁止

このように、公務員は20代〜30代あたりまで民間施設と比べて給料が低く、また今後は長年勤めたとしても給料が階段式に上がっていく保証はありません。

そうなると、自分で副業をして小遣い稼ぎしようと考える人も出てきます。

しかし、みなさんご存知のとおり、公務員の副業は法律で厳格に禁止されています。

職務に専念する義務(国家公務員法第101条)
職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

引用:国家公務員の服務の概要

最近は、副業が解禁となって理学療法士も副業で本業並み、もしくは本業以上の副収入を得ている人が山ほどいます。

Youtube・ブログ運営・クラウドソーシングなど、今の時代本業以外で個人で稼ぐ方法はいくらでもあります。

ぼく自身メディア運営で月10万円程度の収入を毎月得ています。

しかし、公務員の場合、自分の収入に不満を感じて何か行動したいと思っても何もすることはできません。

もし毎月の収入を10万円上げたいと思った場合、仮に毎年の昇給額が7000円だとすると

公務員PT・OTが月10万円の収入UPに要する時間

100,000÷7,000=約14年

なんと14年間もただ待つことしかできません。

理学療法士の専門性やスキルは実は副業にとても向いています。

ぼくの周りでもピラティスの資格や外部トレーナーとして活動して副収入を得ている人がたくさんいます。

こういった副業は社会的意義が高く、また自分自身もやりがいを持って楽しく取り組むことができます。

公務員はこのような主体的な収入アップに対する行動をとることはできず、年数が経つのを待つしかできないと考えると少し寂しい気がしてしまいます。

※準公務員は所属施設から許可が降りれば、副業ができるようです。

「なあなあ」な雰囲気の職場が多い

すべての公務員理学療法士・作業療法士というわけでは当然ないですが、上昇思考がない人が多い印象です。

もちろんすべての公務員PT・OTがそうではありません。

なかには、より質の高いサービスを提供できるように自己研鑽や業務改善に真摯に取り組まれている方もいます。

しかし、全体的になるべく自分の負担を減らして仕事をやり過ごしている人が民間に比べて多い印象です。

入職する時点で「こういうことをしたい!」よりも「安定できればいい」というマインドで社会人になった人は一定数いるのでどうしてもそういう雰囲気になりやすいのかと思います。

転勤がある

公務員理学療法士・作業療法士には転勤があります。

これは大きなデメリットだと思います。特に国立病院機構は他県への転勤があります。

国立病院機構は地方ごとにグループが分かれています。

所属しているグループ内で転勤があるそうです。

仮に関東信越グループ内で新潟県→千葉県への転勤とかだと生活環境が大きく変わってしまいます。

公務員理学療法士・作業療法士は離職率が高い?

ぼくの養成校時代の同級生も新卒で公務員理学療法士になった人が数人いました。

覚えている限りでも5人はいます。そのうち4人は7年目以内に退職しています。

3人は公務員現場の閉塞感や他に担当したい領域ができて他の職場に移籍しています。

1人は理学療法士の業務自体が楽しくなくて離職しました。

最後の1人は公務員現場とは関係なく、おそらく理学療法士をやめていたと思いますが、他の3人は公務員という環境に嫌気がさしてやめってしまっています。

おそらく勤続20年以上とかになると、給料面のメリットが大きくなるので、離職率は大きく下がると思います。しかし、年収が低いうちは嫌気がさして辞めてしまう人が多いのかもしれません。


下の動画は元公務員理学療法士の方が「公務員をやめた理由」について語っています。

内容を聞くとたしかにやめたくなることも分かる気がします。

引用:理学療法士・楢舘強拓のKATZ PHYSIO

行政職で働く理学療法士・作業療法士もいる

行政職で理学療法士・作業療法士はどんな仕事をしているのかなどをまとめています。

実際に行政理学療法士として地域で活躍している知り合いに行ったインタビューもまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。

公務員になりたいのか理学療法士・作業療法士になりたいのか

公務員理学療法士・作業療法士の給料について解説してきました。

公務員は20代〜30代のときに給料が低いので、研修会参加などの自己投資、友達と遊びにいくときに苦労するかもしれません。

一方、民間施設よりも退職金が多いなどのメリットもあります。

しかし、公務員系の施設は95%以上が赤字経営といわれています。そのため、今後は施設閉鎖や統合・規模縮小などの憂き目に遭遇する可能性があります。

公務員=一生安定

という考えはもはや昔の話です。

公務員になりたいのかそれとも理学療法士として社会貢献をしたいのかを落ち着いて考えて今後の進路選択をするようにしましょう。

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