【結論】理学療法士・作業療法士が生み出す利益は少ない
結論です。
理学療法士・作業療法士がいくら頑張ってリハビリをしたとしても、経営陣からみると会社に与える利益はかなり少ないです。
そのため、必然的に理学療法士・作業療法士の給料は上がりません。
その給料メカニズムは具体的に解説していきます。
理学療法士の報酬のしくみ
理学療法士が給料としていただく報酬はリハビリをしたときにもらう診療報酬が反映されます。
みなさんご存知のとおり、診療報酬は自分たちで決めることはできず、国が決めます。
このように、リハビリの質に関係なく、診療報酬は定額です。
そして、この診療報酬の額が大きれば、それに見合った高額の給料をもらうことができるかもしれません。
しかし、診療報酬は決して高いわけではありません。必然的に理学療法士・作業療法士の給料は上がりにくい構造になっています。
理学療法士は1日で取得できる単位数が決まっている
報酬額が少ないなら頑張って1日にたくさんリハビリすればいいね!
このように薄利多売の精神でやればいいのでは?と考えると思いますが、そうもいきません。
理学療法士は1日に取得できる単位数の上限が決められています。
最近は1日 18単位程度が目安になっています。
仮に、運動器リハビリテーション1を取得しているとすると1日の売り上げ計算はこんな感じになります。
185単位×10×18=33,300円/日
※1単位=10円
1日で単位をMAX近くとったとして理学療法士・作業療法士が生み出す売り上げは33,300円です。
1ヶ月に20日勤務だとすると理学療法士・作業療法士の月間売り上げはこちらになります。
約66万円になります。
66万円売り上げているならもっと給料高くもいいんじゃない?
この計算だけ見ると、このように感じると思います。
しかし、理学療法士・作業療法士を雇用したときにはかなりの人件費がかかります。
人件費がどのくらいかかるかを知ると理学療法士の売り上げが少ないことがよく分かります。
人件費は想像以上に高い
具体的に人件費がどのくらいかかるのか見てみましょう。
会社は雇用したときに給料以外にも年金・福利厚生費などを毎月支払っています。
みなさん毎月の給与明細を見ると、厚生年金保険料が天引きされていると思いますが、実はその保険料は半分しか天引きされておらず、もう半分は会社が折半してくれています。
仮に毎月厚生年金保険料で毎月3万円が天引きされているとしたら、もう3万円を会社が毎月支払ってくれているのです。
このように、会社が人を雇用するときの人件費はかなり多額になります。
だいたい、月額給料の1.5倍〜2.0倍くらいの額を会社は毎月支払っていると思ってください。
つまり、月額給料30万円の人に対して会社が毎月支払う額は45万円〜60万円になります。
さきほど紹介したように運動器リハビリ1の場合、月額売り上げが約66万円でした。
売り上げ66万の人に対して月額30万円を支給すると、45万円〜60万円の人件費がかかります。
売り上げは66万円だとしても、人件費を差し引くと理学療法士・作業療法士が毎月会社に生み出す利益は6万円〜19万円程度にしかなりません。
つまり、理学療法士・作業療法士が会社にもたらす営利的な貢献度は微々たるものなのです。
成果が分かりにくい
理学療法士・作業療法士がいくら質の高いリハビリをして利用者の満足度が高かかったとしても、1単位の報酬額はかわりません。
つまり、どんな内容であってももらえる報酬は一緒です。
そのため、経営陣も成果主義を採用することは難しく、頑張りが給料に反映されることはほとんどありません。
あるとすれば、科長・主任などの役職者手当てくらいです。
しかも、役職者になったからといって年収が跳ね上がるわけではありません。
ぼくが以前働いていた職場での役職者手当てはこんな感じでした。
- 科長
月20,000円 - 主任
月5,000円
職場によって役職手当ての額は違いますが、概ねこんなところだと思います。
理学療法士で年収1000万円は無謀
みなさんの中には大きな野望として
「年収1000万円」
を掲げる人はいるのではないでしょうか。
悲しい現実ですが、雇われの理学療法士・作業療法士は理論上年収1000万円を達成することは不可能です。
これまで話してきたとおり、人を雇う場合、多額の人件費がかかります。
もし、理学療法士・作業療法士に年収1000万円の年収を与えたとすると、それに対する会社が支払う人件費はとても巨額になります。
詳しくは下記事で詳しく解説していますので、そちらを読んでもらうと納得できると思います。
職場の羽振りのよさで決まる
理学療法士・作業療法士が生み出す利益は少なく、日本全国どんなセラピストでも会社に与える利益的貢献度はほとんど変わりません。
しかし、中には理学療法士・作業療法士の利益以外の社会的の貢献度を高く買ってくれて高待遇の給料を出してくれる職場もあります。
特に、ここ数年は理学療法士・作業療法士の需要過多により、職場が質の高いサービスを提供できるセラピストを選定して獲得する動きが加速しつつあります。
これまでの経験や積み重ねた知識が認められると今の職場より給料アップに成功することも可能です。
反対に羽振りが悪い会社だと、いくら長年勤めていても昇給が1000円〜2000円程度と全然給料アップにつながりません。
本当に給料アップしたいなら羽振りがいい職場を探すことをオススメします。
- 利益的貢献度はどのセラピストもほぼ同じ
- 会社の方針でPT・OTに高給料を出すところもある
- 昇給が低い会社では一生薄給のまま
給料アップを勝ち取る方法
給料アップを勝ち取る2つの方法を紹介します。
1.施設長に打診する
1つ目は施設長に給料アップを直接交渉してみるという方法です。
直談判なんて緊張すると思いますが、言うのはタダですし、成功すれば儲けもんです。
ただし、この方法は組織が大きい施設で働いている方には無意味です。
というのも、大きい組織だと給与システムが厳格に規程されていることがほとんどだからです。
この方法が聞くのは個人開業のクリニックやデイサービスなど組織が小さい施設に限定されます。
こういった施設では施設長の独断で給料を上げてもらうことが可能です。
交渉するときのポイントは「給料を上げてもらう正当性を論理的にアピールする」ということです。
ただ、「給料上げてください!!」といっても他スタッフも一生懸命に働いているのに自分だけ給料を上げてもらうことはできません。
自分が職場でどのような貢献をしているのか?また、利益をどれだけ生み出しているのかを具体的な数値を持ってプレゼンする必要があります。
アピールするポイントの例はこんな感じです。
- 自分が入職する前後の取得単位数の増加率比較
- アンケートをとって利用者満足度の上昇に貢献
- リハビリの口コミを聞いて新規利用者が増加した
こんな感じです。
いずれにしても、きちんとアンケート集計や前後比較をして定量的に自分の貢献度をアピールすることが重要です。
個人経営の施設だと、資料を作って論理的に話すと意外にも交渉に応じてくれます。
僕自身、クリニックで給料アップ交渉をして月23,000円の基本給UPに成功しています。
みなさんもぜひ挑戦してみください。
転職して待遇がいい職場を見つける
2つ目は転職して待遇がいい職場を見つけるという方法です。
さきほど話したように羽振りが悪い会社ではいくら長年勤めたとしても給料は上がりません。
昇給額がもし1,000円だとすると20年勤めても基本給はたった2万円しか上がりません。
それだけ理学療法士・作業療法士の頑張りを認めるスタンスがない職場であれば、転職を検討するのもありです。
いきなり、転職といっても現実的ではないので、まずは他職場の給料や年収をのぞくことから始めてみましょう。
国内には理学療法士・作業療法士専用の転職サービスがあります。
これらのサービスには大体非公開求人というものがあり、登録すると求人内容の詳細を見られるようになります。
この非公開求人はハローワーク・インディードには掲載されていない年収500万円クラスや土・日・祝完全休みの優良求人が転がっています。
これらのサービスは完全無料で利用することができるので、まずは登録して情報収集するだけもOKです。
理学療法士・作業療法士専用の転職サイトを活用しよう
- 介護JJ
- 介護畑
- ケアキャリ
- ミラクス介護
- PTOTSTワーカー
- リハビリのお仕事
- PTOTキャリアナビ
- メドフィット
- PTOT人材バンク
- マイナビコメディカル など
国内に理学療法士・作業療法士に特化した求人支援サイトは10以上あります。
その中でもおすすめのサービスを3つ紹介します。
完全無料だから複数登録しても0円だから安心
1.PTOT人材バンク
国内最大級の非公開求人数をほこるのがPTOT人材バンクです。
希望する職域に関わらず、全PT・OTが登録しておくことをオススメします。
非公開求人は高待遇求人がたくさんあるので必見です。
2.PTOTキャリアナビ
PTOT人材バンクと合わせて登録しておきたいのがPTOTキャリアナビです。
PTOTキャリアナビはLINEでアドバイザーと手軽に相談などのやりとりをできるのが特徴です。
独自の高待遇求人もあるので要チェックです。
ただ、紹介求人が関東圏に限定されているのが難点です。
3.ケアキャリ
デイサービスなど介護保険領域に興味がある方はケアキャリも必ず登録しておきましょう。
介護保険領域の理学療法士・作業療法士の求人数がNo.1です。
理学療法士・作業療法士の年収が上がらないのは当然
理学療法士・作業療法士が会社に与える利益貢献度は微々たるものです。
そのため、給料がなかなか上がらないのは至極当然です。
しかし、その中でも羽振りのいい職場は存在します。
年収400万円〜500万円の給料を出してくれる場合もあります。
給料アップしたい人は
- 施設長に直談判
- 転職を視野に入れる
どちらかのアクションが必要になります。
みなさんが少しでも給料アップを勝ち取ってゆとりある生活を送られることを祈っています!