雇われの理学療法士・作業療法士ではいくら頑張っても理論上年収1000万円に到達することは不可能です。この記事ではその理由と理学療法士・作業療法士として年収1000万円に到達するための方法を3つ紹介しています。
年収1000万円って憧れるなあ
残念ながら雇われのPTOTではほぼ無理だよ
え・・・何か方法はないの?
ハードルは高いけど3つ紹介するね
年収1000万円というと誰しもが憧れる数字だと思います。しかし、雇われのPT・OTにはいくら頑張ったとしても理論上年収1000万円に到達することは不可能です。これからその明確な理由と年収1000万円に到達するための方法を3つ紹介していきます。
理学療法士が生み出す年間売り上げ
まずは理学療法士・作業療法士がどのくらいの売り上げを生み出すことができるのか考えてみましょう。
診療報酬の仕組み
雇われのPT・OTは労働の対価として会社から給料をもらいます。
そのため、まずは理学療法士がどのような仕組みで報酬をもらっているかを把握することが大切です。
まずはその仕組みについて解説していきます。
理学療法士の給料はリハビリ提供の対価としていただく診療報酬から支払われます。
診療報酬の金額は厚生労働省が決めています。
その一覧が疾患別リハビリテーション点数表というものです。
こちらの表は簡略化した表なので、詳しくは厚生労働省のホームページをご参照ください。
点数は1点=10円です。
例えば、施設基準1をクリアしている施設で運動器リハを1単位したとします。そうすると
185(点)×10=1850円
の報酬をいただくことになります。
このように、医療保険下では理学療法士がいただく報酬は自分達で勝手に決めることはできません。
理学療法士の年間売り上げの天井額
次に理学療法士・作業療法士が年間でどのくらい売り上げを作ることができるのかざっくり計算してみましょう。
1番点数が高い245点/単位と仮定します。
※取得加算分は計算外です。
- 245点/単位を取得
- 1日18単位
- 月に20日勤務
- 1日の売り上げ
2450(円)×18(単位)=44,100(円/日) - 1ヶ月の売り上げ
44,100(円)×20(日)=882,000(円/月) - 1年間の売り上げ
882,000×12(月)=10,584,000(円/年)
→年間MAX1058万円売り上げる
理学療法士の売り上げは、年間通じてMAXの単位取得すると1000万円を超えることが分かりました。
1000万円以上売り上げたら年収もそのくらいいきそう!
次の話もよく聞いてね
【重要】あなた自身の人件費を知ろう
1000万円を売り上げているからとって会社がその人に年収1000万円近く給料として渡すことはありません。
それは人を雇用すると会社は人件費を支払わないといけないからです。
どういうこと??
上図を見てもらうとわかる通り、1人雇用としたときにかかる人件費は給料だけではありません。
それ以外に多額の費用がかかってきます。
人件費の内訳
大まかな人件費はこちら
給与
まずはみなさんが毎月もらっている給料です。
賞与(ボーナス)
見方を変えると、ボーナスも毎月積み立ているようなものです。
法定福利費
法定福利費の額が結構大きいです。厚生年金保険は会社が折半してくれています。
福利厚生費
法定外福利費ともいわれています。
福利厚生は会社の温情でいただくことができています。通勤費や家賃補助などがこれにあたります。
退職金
退職金も会社が支払う義務はありませんが、毎月コストとして積み立てて支払っています。
その他費用
このほかにもリハビリ室の光熱費や管理費などを毎月支払っています。
人件費ってこんなにかかっているんだね
給料<会社が支払う人件費
このように会社は1人のスタッフに対して給料以外に多額の金額を毎月支払っています。
この原理を知っているか知らないかは会社員として働く上で大きな差になります。
一般的に給料の1.5倍〜2.0倍の額を人件費(その他費用)として支払っているといわれています。
年収1000万円の人件費
年収1000万円の人にかかるコストはざっとこれくらいになります。
1000万円×(1.5〜2.0)=1500万円〜2000万円
理学療法士の年間売り上げはたとえMAXでも1000万円でした。
もし、売り上げ1000万円の人に年収1000万円を渡すと年間で500万円〜1000万円の赤字となってしまいます。
理学療法士の年収はいくらが妥当?
PT・OTの全うな年収はいくらなの?
次に理学療法士・作業療法士の年収はどのくらいが適正なのか見てみましょう。
労働分配率とは
適正年収をしるためには労働分配率の知識が必要になります。
労働分配率とはざっくりいうとこんな式で計算できます。
労働分配率(%)=人件費÷理学療法士による利益×100
労働分配率を見ると会社がどのくらい社員に人件費として還元しているのかが分かります。
労働分配率が高ければ、成果に見合った額を給料などの人件費として支払ってくれていることになります。
一方、労働分配率が極端に低い場合は理学療法士の利益が給料などの人件費に反映されていないと判断できます。
この労働分配率は業種によって大きく異なります。
業種 | 労働分配率 |
製造業 | 50.8% |
卸売業 | 49.5% |
小売業 | 50.0% |
平均 | 50.1% |
例えば、流通系の業種では労働分配率の平均が50.2%と発表されています。
ほかには電気・ガスなどのインフラ系は約20%、飲食系は約65%など様々です。
結構ばらつきがあるね
区分 | 労働分配率 |
医療法人 | 73.2% |
国立 | 78.9% |
公立 | 90.1% |
公的 | 77.4% |
社保法人 | 75.3% |
その他 | 76.4% |
国公立除く | 75.3% |
医療系の労働分配率はこんな感じです。
民間施設の平均は75.3%と報告されています。
医療系はものすごい高いんだよ
理学療法士の適正年収
では労働分配率を75%として理学療法士の適正年収を概算してみましょう。
運動器リハビリを想定して計算するよ
- 運動器リハビリテーション料(1)
185点/単位を取得 - 1日18単位
- 月に20日勤務
- 人件費は給料(額面)の1.5倍
- 労働分配率は62%
- 理学療法士が生み出す月間診療報酬
1850(円)×18(単位)×20(日)=666,000円 - 理学療法士が生み出す年間診療報酬
666,000(円)×12(ヶ月)=7,992,000円
※加算取得分や光熱費等の差し引きは省略
次に、労働分配率=75%と年間売り上げの7,992,000を代入して人件費を計算してみます。
労働分配率(%)=人件費÷理学療法士による利益×100
75(%)=人件費÷7992,000(円)×100
これを計算すると年間人件費は約599万円になります。
さらに
給料×1.5=人件費(599万円)
これを計算すると
理学療法士の適正平均年収は約400万円となりました。
理学療法士の平均年収は410万円といわれているので、その平均年収は極めて適正といえます。
自分の年収に不満をいうPT・OTが多いですが至極全うな額であることを理解できたのではないでしょうか。
年収1000万円に必要な売り上げ
余談になりますが、年収1000万円を受けとるために必要な売り上げも見てみましょう。
- 年収1000万円にかかる人件費
1000万円×1.5=1500万円 - 労働分配率75%に設定
75(%)=1500万円÷利益×100
利益=2000万円 - 利益2000万円を作るための売り上げ
2000万円=売り上げ-1500万円
売り上げ=3500万円
年間3500万円の売り上げが必要
3500万円・・・
3500万円の売り上げをたてるためには1日に約59.4単位の取得が必要という計算になります。
完全に無理ゲーなわけです。
理学療法士でも年収1000万円到達する方法
臨床業務に従事する以外だといくつか理学療法士・作業療法士が年収1000万円に到達する方法があります。
1.大学教員
1つめは理学療法士養成校の大学教員です。
大学教員は役職が決まっていてそのランクに応じて年収が決まります。
助手→助教授→講師→准教授→教授
年収1000万円を超えるのは准教授あたりからです。
ただ、大学教員になるには海外論文投稿や書籍執筆などのずば抜けた実績がないとなれません。
また、専門学校の教員では年収1000万円には到達できません(※組織の上位に君臨できれば可能性あり)。
ぼくの知り合いにも専門学校の教員をしている人が数人いますが、大体年収500万円〜600万円程度です。
2.日本理学療法士協会の役員
みなさんご存知の日本理学療法士協会の役員になれば年収1000万円を超えます。
日本理学療法士協会の役員報酬は公開されています。
会長・副会長・専務理事・常務理事になると年収1000万円をクリアします。
しかし、大学教員同様にこの域に到達するには相当いばらの道といえます。
現実的な方法を聞きたいなあ
3.独立開業
3つめは独立開業です。
これが最も現実的な方法です。
最近は理学療法士・作業療法士で独立する人が本当に増えました。
というのも理学療法士・作業療法士の専門性は独立開業にとても向いています。
- パーソナルジム
- ヨガスタジオ
- ピラティススタジオ
- 高齢者向け健康増進施設
- 整体院
みんな気づいていないだけでPTOTの専門性は独立に向いているんだよ
高単価の自費整体院や治療院を運営して成功すれば、年収1000万円に到達できます。
例えば、理学療法士の方が運営されているトリガー(TRIGGER)というサロンです。
こちらの施設は筋膜調整をメインにされている治療院ですが、1回の施術料金が22,000円(税込)です。
このような高額単価で人気店となれば、年収1000万円を達成することができます。
年収1000万円よりもまずは週末開業を始めよう
本業をやめていきなり独立開業するのはハイリスクです。
なるべく、リスクを抑えて収入を増やすのであれば、週末開業をおすすめします。
ぼく自身、週末や本業終了後の空き時間を利用してスポーツ選手へのトレーニング指導で収入を得ています。
週末開業にはメリットがたくさんあります。
- リスクがほぼ0
→稼げなくても本業収入がある - 自分のペースで収入を稼げる
→本業収入のプラスαという位置付け - 精神的安定性が高い
→失敗しても食いっぱぐれない
いきなり独立開業で年収1000万円を目指すのではなく、まずは気軽に週末開業をして自分でお金を稼ぐ感覚を身につけましょう。
週末開業のお客さんが増えて本業収入を超えそうになったときに独立開業するのがスムーズです。
ピラティス・トレーナー活動・自費整体など得意分野を活かして週末開業をしようとしているPTは多いと思います。
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独立開業は大変
個人で開業となると準備しないといけないことが山ほどあります。
- 物件探し
- 行政手続き
(開業手続きなど) - 事業計画書の作成
- 資金調達
- マーケティング
(お客さんに来てもらうための戦略) - 収支計画の作成
- 顧客管理 etc
全部一人で進める自信ない・・・
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相手先も新規立ち上げだと足元を見られて相場よりも高い見積もりをふっかけられて知らず知らずに開業コストが莫大になってしまう危険性があります。
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年収1000万到達の現実的方法は独立開業
理学療法士・作業療法士が施設に勤務しながら年収1000万円を達成するのは診療報酬の特性上不可能です。
年収1000万円を達成するために最も現実的な方法は独立開業です。
理学療法士・作業療法士の専門性は社会からの需要はとても高いです。
ただ、独立開業となると、今までにしたことがないであろう行政手続きやマーケティング戦略・収支計画などを一人でしないといけません。
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